理事長のご挨拶

ご挨拶

 2019年4月より日本結節性硬化症学会の理事長を拝命いたしました水口 雅(みずぐち まさし)と申します。私は小児神経と神経病理を専門とする医師、研究者です。

 日本結節性硬化症学会は2012年、樋野興夫先生(順天堂大学教授:当時)の呼び掛けに、結節性硬化症を専門とする医療者・研究者、さらに結節性硬化症の患者・家族が応え、集結して発足しました。以来、初代理事長を務めてこられた樋野先生の理念と医療者、研究者そして患者・家族の熱意により着実に発展してきました。毎年1回開催している学術総会の会場では、医療者、研究者だけでなく、多くの患者・家族が前方の席に座り、活発に質問して議論を進めています。学会直属の患者・家族会であるファミリーネットが、講演会、茶話会などの活動を展開するとともに、本学会とは独立した患者・家族会であるつばさの会とも連携しています。さらに2018年9月には国際結節性硬化症研究会International Tuberous Sclerosis Complex Research Conference 2018を東京で開催し、成功に導くこともできました。

 結節性硬化症はTSC1またはTSC2遺伝子の変異を原因とする疾患ですが、症状は患者ごとに大きく異なり、皮膚、脳、眼、心臓、肺、腎臓などさまざまな臓器に病変や症状が現れることがあります。2012年までは、それぞれの臓器の症状に対して皮膚科、小児科(小児神経)、脳神経外科、泌尿器科、呼吸器科などの診療科が個別に診療していました。ところが近年の医学の進歩にともない、2012年頃からTSC1/TSC2変異の影響を直接是正するmTOR阻害薬が治療に応用され始め、患者の全身諸臓器の複数の症状を同時に治療できるとともに、治療の全身的な影響を考慮しなければいけない状況が生じました。この状況を踏まえ、本学会には上述の多くの診療科の医師、臨床研究者が集まって活発に情報交換し、相互に協力し、密接に連携しています。また結節性硬化症の病態に関する基礎研究に関しても、病理学(腫瘍病理、神経病理)、遺伝学、生化学、神経科学など多様な領域の研究者が参加し、共同して研究を推進しています。

 日本結節性硬化症学会は歴史も浅く、規模も小さな学会ですが、以上のように個性的で、活気溢れる学会です。このたび理事長のバトンを受け継ぐにあたり、本学会のさらなる発展に微力を尽くす決意です。皆さまのご支援、ご協力を宜しくお願い申し上げます。

日本結節性硬化症学会 理事長 

水口 雅      

(東京大学大学院医学系研究科  

国際保健学専攻発達医科学分野)